Holes: chap. 1

キャンプグリーンレイクには湖がなかった。かつてはここにとても大きな、テキサスで一番大きな湖があった。それは100年以上前だった。今やまったく干上がり、平坦な荒地である。

同じようにグリーンレイクの町も昔はあった。その町はしなび、湖とそこに住んでいた人々とともに干上がってしまった。

夏の間、日中の気温は日陰でおよそ華氏95℃に上がる――もし日陰を見つけられるならば。大きな干上がった湖にそんなに日陰はない。

唯一の木はその「湖」の東端にある2本の老木のオークだ。ハンモックはその2本の木の間に広げられ、木造小屋がその裏に建っている。

キャンパー達は、ハンモックで寝転がるのを禁じられている。ハンモックは所長の所有物である。所長が日陰を持っているのである。

湖の外では、ガラガラヘビやサソリが岩陰やキャンパーの掘った穴の陰を見つける。

ガラガラヘビやサソリのことで覚えておくべき良い規則がある。彼らに迷惑をかけなければ、彼らもこちらに迷惑をかけない。

普通は。

サソリやガラガラヘビにも刺されたり噛まれるのは起こり得る最悪のことではない。死ぬわけではない。

普通は。

時々キャンパーはサソリに刺されるか、小さなガラガラヘビにさえも噛まれようとする。そしたら湖の穴を掘らずに、回復するのに1日か2日テントで過ごすだろう。

しかし黄斑のトカゲには噛まれたくない。それは起こり得る最悪のことだ。ゆっくり痛みのある死を迎えるだろう。

常に。

黄斑のトカゲに噛まれたら、オークの日陰に行きハンモックで横たわってもいいかもしれない。

もはや誰も何もできることがないから。